インフレ<景気後退
サブプライム問題がまだマーケットの中で深刻化されていない今年の春先までは、原油高を背景とした「インフレ」を如何に抑制するかが焦点となり、各国中央銀行も、どちらかといえば「利上げ」を視野に入れながらマーケットを注視していたはずだが、今回の100年に1度といわれる金融危機に直面し、世界的な景気減速に対応するため、一気に利下げモードへと舵を切ったのはご承知の通り。
米国の金融安定化策と共に、既に主要国の利下げは実行されているが、先週は改めて大幅な追加利下げが決定された。
オーストラリア 6.00%→5.25% 0.75%引き下げ
イギリス 4.50%→3.00% 1.50%引き下げ
スイス 2.50%→2.00% 0.50%引き下げ
欧州 3.75%→3.25% 0.50%引き下げ
デンマーク 5.50%→5.00% 0.50%引き下げ
その前週にはインドが0.50%(8.00%→7.50%)、日銀が0.20%(0.50%→0.30%)利下げを行い、協調的な金融緩和策は徐々に効果を発揮することになるだろう。
一方で、利下げによる為替市場の反応は、当局が大幅利下げを行わねばならない程、深刻な状況にあるのかというネガティブな見方が強まっており、先々週に底値を打った後戻りを試す流れが止められてしまった。
過度な悲観論<自立反動的な上値トライ
ドル円、クロス円の資金フローから見ると、年末決算に絡んで11月中旬までは、ポジション整理の関係上、上値が重たい状況が続くが、今週中にクライマックス的な動きか、若しくは下げ渋る展開が続けば、今後の展開について底打ち反転をイメージしても良いのではないかと考える。
ブッシュ政権<オバマ新政権
米国新大統領は米金融安定化策を継承することになるが、マーケットは新政権の人事に注目しており、特に100年に一度といわれる金融危機に直面する中、財務長官が誰になるのか非常に重要となってくる。
いままで、著名投資家ウォーレン・バフェット氏、ルービン元財務長官、サマーズ元財務長官など候補は複数報道されてきたが、ここにきてガイトナーNY連銀総裁が本命として挙げられている。
今後新政権における主要人物の動向には注意する必要があるだろう。
一旦は調整局面
先々週まではかなりの値幅を伴った動きが続いていた為替市場だが、先週は値幅こそ広がっているが、一方的な値動きに対する調整的な動きが徐々に強まっている。
先週のトピックと言えばFOMCにて0.5%の利下げを行いドル金利はついに1%までの下落、日銀政策決定会合にて円誘導金利も中途半端な感は否めないが0.5%から0.3%までの利下げとなった。
今週は本日、オーストラリアが市場予想を上回る0.75%の利下げを行い、木曜日には欧州中銀の0.5%利下げが決定される予定となっている。
また、4日より米大統領選挙が開始する予定であり、現時点では民主党のオバマ候補が優勢を保っていると言われている。
一般的に民主党は保護主義的な政策を推し進めることが多いといわれているが、オバマ候補が保護主義的な政策を取ったとしても現時点では中国人民元、日本円共にドルに対して総じて高いレベルで推移しており、為替市場での更なる調整は今のところ考えにくい。
先週、多くの通貨、特にクロス円を中心として一旦底入れした為替市場だが、今週も同様の動きが強まる可能性が高いように見える。
今回の相場は8月以来の値幅は近年稀に見る大相場となっており、調整的な値動きとしても値幅を伴った動きとなる可能性はかなり高いと言える。
一方で今回のドル円やクロス円の下落に伴うユーロドル、あるいは豪ドル、ポンドなどの下落は2002年以来の円キャリートレードに代表される投機的なポジションが一気に巻き戻しとなった結果であり、動きが急激であった分だけ投機筋や輸出など売り遅れた向きも多数存在すると思われる。
特に本邦輸出の売り遅れは目立っており、円高による決算悪化を株式市場が織り込む動きも株式市場を下落させた要因となっている。
米大統領選挙後は米国ブッシュ政権の政治力無力化が進むことになるが、この金融危機の最中のレームダック化はドルに対する不信任を加速させる可能性もある。
ドル売りが進むことになればユーロドルなどの買い戻しも入りやすくなるが、現時点では欧州経済、あるいはオセアニア経済に対する悲観的な見方が勝っており、対ドル相場の戻りも限定的となる可能性が非常に高いと思われる。
年末に向けて市場はかなり薄くなると思われ、市場の値動きはかなり激しくなる可能性が高まりつつあるが、今週から来週にかけては今まで下落の大きかった通貨を中心として調整的な動きが強まるものと思われる。
ここで戻りの鈍い通貨ペアは売り遅れた向きが多い為、市場は再度売りに回る可能性が高いと言える。
ユーロ円、豪ドル円については既に十分な下落を見せているが、今回底堅い動きを見せていた通貨が第2弾の動きにつながる可能性は否定できない。
60日間の騰落率を見ると豪ドル円、ランド円の下落が目立っているが、今週からは戻り局面で対円以外の通貨が動き始める可能性が高いのかもしれない。